北の椅子と ショップ便り・お知らせ

北の椅子と 便り

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中秋の名月を見上げながら、だんごを頬張ったのがつい先日のようだけれど、
いつの間にやらまた満月がやってきて、その美しさにうっとりとこれを書いている。

この秋は、予定も少なめ、ゆっくりと進むはずだったのに、台風にやられた。
店の屋根も、隣接する製材所の屋根も飛んだ。
人的被害がでなかったのが不幸中の幸いと思う。
これが昼間の出来事だったら、うちの屋根が、人を殺めかねない事態になっていた。
ちょうど台風が過ぎゆく夜中に店の近くの5階にある我が家のベランダの排水口もつまり、プールのようになってきた。
飼い犬は家の中に避難してきているけれど、犬小屋は重りをしていたのにプカプカ浮いている。
意を決してそれを抜きにベランダに出ても前に進めない。どころか、宙に浮きそうになる。
こんな風、ニュースでしか見たことがないと思いながら、眠れぬ夜を、無事台風が過ぎゆくことを祈りながら過ごした。
夜が明けて家の周りを見てびっくり。
そして、店の鍵を開け、中に入って空を見上げて、不謹慎にも笑ってしまった。
近所の塀やシャッターが倒れたり、壊れたりしていて、大変ですね、って言っていたけれど、うちもなんのなんの、、青天井。

スタッフも朝早くから駆けつけ片付け掃除を始めてくれ、屋根の修理にも親方がすっ飛んできてくれ、本当にありがたく翌日には営業を再開できたけれど、
自然の威力を目の当たりにした、台風でした。
そして、今日も満月をのんきに見上げながら、熱いお茶をすする平穏に感謝するのです。

さてさて、11月、12月はなかなかに突っ走る予定です。
家具のご注文もたっぷりいただき、ありがとうございます。
メンテナンスもフル稼働。
台風前にひいじいちゃん家でよく言えば自然栽培のつまりはほったらかしの柿を息子とじいちゃんが必死でもいだランドリーバスケットいっぱいの柿もスタッフが1日剥き続けてコンポートに。タルトやパフェになっています。楽しい美味しいカフェのメニューラインナップ。

どうぞ皆様に笑顔でお目にかかれることを楽しみに。

2017年10-11月 北の椅子と 服部 真貴 

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セミの鳴き声が名残ながらも、夜は涼しい風が吹くようになり、リロリロといい声聞こえます。
そんな、9月の初日、「やったー!きょうからがっこう、は、じ、ま、る!」とルンルンで起きてきた息子。
正直びっくりしました。私にとっては「夏休みが終わる=憂鬱」だった記憶があります。
早起きや終わっていない宿題、2学期の持ち物の準備。のらりくらりと暮らした夏休みからは程遠い学校生活が始まる憂鬱。
行けば友達とも遊べるし、勉強も嫌いでなかった私にも夏休みの終わりはとても寂しいものでした。
宿題はしていたとしても、きっと息子にとっても夏休みは楽しい日も多かったはずで、そんな夏休みが終わることはちょっと寂しい。と勝手に思っていました。
もしかしたら、息子にもそんな気持ちもあったかもしれないのですが、それにも増して、学校生活が始まる楽しみがある。なんて素敵でありがたいことでしょう。
そして、母は羨ましくも思いながら、スキップしそうな足取りで学校へ向かう彼の背中を見送るのです。
ずっとこんな日が続きますように!と心から祈るのです。
きっと嫌な日もあることだと思います。けれど、その山を乗り越える力もつけてもらいたい。
楽しいばかりじゃないけれど、先の楽しみに向かって歩んでいける力がある、そんな人になってもらいたい。

それは、息子だけではなく、スタッフ皆にも思います。
困難があっても、前を向き、解決していく力。どうにか乗り越え、また笑顔で今日を終える力。
ずっと持ち続けて欲しいものです。そして私自身、そうありたいと思います。

そう、先日コンテナからおろしてきた、300アイテムを超える家具、山積みの雑貨。未処理の伝票、目を通すべき分厚い通関資料。
その先にお客様の笑顔と暮らしが見えてきたらしめたもの。次の使い手に手渡しできる日を楽しみに。
そう、総力あげて、まずは売り場へ!

2017年9月 北の椅子と 服部 真貴 

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暑いあつい夏を忙しく楽しんでいたら、すっかり子どもの夏休みも半分過ぎて、まちなかではセミの合唱も小さくなってきた。
花屋の店先ではほおづきが賑やかだ。盆を迎える準備の頃となると、子どもの頃の夏を思い出し楽しくなる。

そうそう、子どもと夏の思い出といえば、この度、ご縁をいただき、兵庫図書館のキッズチェアを張り替えるワークショップを北の椅子とで催させていただいた。
兵庫駅前の神戸市立兵庫図書館の館長さんから、ご依頼頂いた時からとてもワクワクしていた企画。古くなった椅子を、図書館を利用する親子が張り替えて、掃除して、また現役に戻る。
二つとない味のある椅子として、また図書館を利用する子どもたちに愛される。
参加してくださった親子は暑い中も真剣に、また集中力が高く、張り替え作業に取り組み、私たちが予想していた3分の2ほどの時間でそれぞれ満足いく仕上がりまで整った。
その日の思い出とともに、張り替えを終えた子どもたちにとっては図書館がまた違ったように見えてくるのではないだろうか。
物語を作るような企画をくださった、兵庫図書館と、参加いただいた親子の皆様に心から感謝したい。

今、北の椅子とでは延びにのびているコンテナの受け入れ準備に慌ただしくしており、北の椅子と一番のヒリキな私はのんびりしている。
今回のコンテナ入荷は雑貨類が過去最多パッキン。ただただ今は無事一つも破損なく届くことを期待しているのだけれど、それをどのように開け、検品し、ストックしていくか、とても私たちの頭を悩ませている。
もちろん、買い付けたものとの再会は楽しみではあるけれど、この夏の運動会のようなコンテナにおろしは、なかなかに覚悟のいるものだ。
そして、運動会が閉幕するとすぐに、新しく貰い手のご縁をいただき、嬉しくその嫁入りを見送る。そうありたい。

2017年7-8月 北の椅子と 服部 真貴 

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紫陽花もちらほら。梅雨入りした神戸。
ずっと雨が降ることはないけれど、不安定な空模様に洗濯物も出たり入ったり。
この春から六甲山の上にある小学校へ通い出した息子は、今日は雲の中にいた、
とか、山から下りてきてみたら暑いやん、とか、海に近い私たちの店とは違う天気の中にいるようです。

先日、その学校に息子が通学するようになってからは初めて訪ねました。
学習の成果というか、今取り組んでることをまとめて発表する機会なんだと思って、いわゆる授業参観のような気持ちで見に行きました。
しかしながら、発表を聞いたり見たりするだけではなく、結果、考える機会をもらいに行ったように思います。

子ども達の探求は深い。
一つのテーマに沿って、私なんかの薄い知識ではまったく及びもしないことに子ども達は興味を持って、掘り下げる。それも一人ひとりが様々に。
そのそれぞれの調査や実験、体験をシェアすると、大きな学びになっていきます。
そして、それぞれの発表には、質問が子どもからもおとなからも容赦なく降り注ぎ、自分だけの考えの道筋、結論だけでなく、多角的なものの見方を迫られます。
私も一人ひとりの発表に、うーんと頭を使うこととなり、下山して家にたどり着いた頃には、まだ日も高いのに眠たくなっておりました。

中学年が一学期の前半で取り組んでいたテーマは『ゴミ』。
ゴミの処理場に3箇所回り、学校周りのゴミ集め、分別を体験し、歴史や世界の事情を調べていたけれど、 それぞれに聞いていると、このテーマを通して、「買う前にいろいろと考えるようになった。」と口々に言っていたのが印象的でした。
そして、南フランスにある村の給食の変化による村の変化をとらえたドキュメンタリー映画「未来の食卓」を思い出したのです。
子どもが学ぶと、家族が学ぶ。家族が学べば社会が学ぶ。

さらに、私たち北の椅子とが大切に思っている、『物の循環』についても一考。
北の椅子と で扱う家具は新しく産みだしたものではありません。
50年ほど前に産まれた家具をまだまだ使うには、使い始める前にメンテナンスをする必要があります。
家具との付き合い方を家具に合わせる必要もあります。
時間もお金もかかるそんなことも、長いスパンで考えるとどうでしょう。

『考えの循環』はまだまだ続きます。

2017年6月 北の椅子と 服部 真貴 

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ツバメがまた戻ってきて、5月の訪れを知りました。
また、家族が増えると良いなと見上げる巣には、もうその兆しがあるように思えます。

私たち北の椅子とにもこの4月の末に家族が増えました。
箕面の船場の街中におぎゃーと産まれたその店は、和田岬の時とは違って、早くも、私どもが何をする店かも知らぬお客様も、ふらりと立ち寄ってくれる場所となっている。
自然に近いけれど、都会も近い箕面船場には繊維街としてオフィスビルや倉庫が立ち並ぶ中、こだわりのある店もぽつぽつとあったり、 北の椅子とminohが入っているビルの2階にはこのビルのオーナーのBUFF STOCK YARD があることもあって、 私たちも以前からよく訪れる場所でもあった。しかしながら、ここに店を開く機会に恵まれることがあるなんて、考えてもいなかった。
主人の早川薫、小柄でちゃきちゃきと働き、北の椅子とminoh を産み出した人。その早川の実家、自宅が箕面にあり、かつて、私の相方が開いていた店があったり、私たちも随分以前の新婚の頃住んでいたこともあり、 馴染みはたっぷりあったけれど、箕面に店を開く機会に恵まれたことは、このビルのオーナーに感謝でしかない。あっ、そして、何と言っても店主のガッツ。あるんです、あの小さなひょろんとした身体の中にみなぎるガッツ。

そして、産みの喜びより、育てる楽しみ。赤ん坊の成長が日々目を見張るほどであるように、北の椅子とminohも日々成長していければな、と思います。
店主の早川、かつては相方の下で働いておりました。13年ほど。その彼女のことを相方が誰かに紹介するとき、いつもこう言います。
真面目と健康が取り柄です。もちろん仕事にもそうですが、私との約束にも遅れてきたことはかつて一度もありません。
そんな彼女が育てる店は真面目に、実直に 北欧ヴィンテージの良さを伝えてくれることでしょう。是非、何度もなんども訪れてみてください。その度に、変化があり、楽しんでいただけますよう、主人共々努めてまいります。

2017年5月 北の椅子と 服部 真貴 

北の椅子と 便り

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ことしも生きて
さくらを見ています
ひとは生涯に
何回ぐらいさくらをみるのかしら

茨木のり子が詩っています。
桜の花が咲くのを見上げると、ふわりと頭を通り過ぎる一篇です。
生きていることを身体の中から実感する、桜の花の咲くころです。

和田岬の店は、春の新生活をスタートされて家具を選びに来られる方で賑わっております。
嬉しい事で、メンテナンスもフル回転。
同時に、新店箕面船場の工事もスタートしました。看板、壁色、什器配分、店主となる早川の頭はこちらもフル回転。
そんななか、私はというと息子が春休み(店を開けて初めて、仕事をしながら長く一緒にいます。保育園サマありがとうございました!) ということもあり、なんだかのんびりと仕事を進めさせてもらっているような、実働よりも考える時間を長くもらえており、次々と妄想が膨らんでいます。妄想は大得意!!しかしながら、この妄想の中から、実現と結び付けられるかをいろいろと天秤に載せ、実現に近づけていくよう多方面と連携相談を進めていくことにはまだまだ力不足を感じています。この事こそ私の仕事ではありますが。
春の大妄想から、種をまき、夏には十分と水をやり、秋には数少なくともしっかりと味のある実が少し。冬には土をよくして、来年にはまた更に少し。と、美味しい木の実をお客様とも、スタッフとも、家族とも分け合って、次第に太くて丈夫な木に育っていければとおもいます。
その大妄想のなかから、今年は大きなものなら新店舗が。その他にも今年はお隣の材木屋との連携により、無垢のぶ厚い天板テーブルを始めてみたり、 老舗ソファーのメーカーから我が家でも10年以上愛用中の革のソファーを取り扱わせてもらおうと進めたり。こちらホームページもより分かりやすくとリニューアルを考えたり。

北の椅子と様々な人も巻き込んで、しっかりと。みな様の暮らしに楽しい事を。
引き続き、みな様にも巻き込まれていただけますと幸いなのです。 

2017年4月 北の椅子と 服部 真貴 

北の椅子と 便り

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私事になりますが、とうとう、とうとう、我が息子が保育園を卒園の時を迎えた。
思えば、北の椅子との店を開ける時、その計画の段階から保育園にお世話になって、まるっぽ4年と半分。
安心して店の仕事に向かえたのも、保育園のおかげが大きい。
有機野菜を中心としたおいしい給食は、息子の食生活の中心となり、夕飯を慌てて支度する私の気分を楽にした。
ちょっとこだわりが強い、そして不安定な気持ちの時もある息子を、その時その時の状態に向き合い、ぎゅっと抱きとめてくれた保育士の方々。
また、そんな息子のこともその個性とそれぞれが受け止め、接してくれてた13人のクラスの仲間の存在とその親御さんたちとの交流もありがたかった。
店でのバタバタも保育園の門をくぐって、子どもくさい、平和な匂いにストンと肩の力が抜ける。
卒園を前に振り返り、こんなに親の私の心を支えてもらっていたのだと、改めて、そのありがたさに感謝する。

保育園からの帰り道、桜の蕾がずいぶん膨らんできていることにようやく気がついた。
三月は二週間も遅れたコンテナの到着を、待っているうち春の風が吹いてきた。
到着した荷物とは四ヶ月ぶりの再会になる。久々に同行した買い付けで、思い入れあって手にした品々が無事届いたことの嬉しさは、まさに、喜びの再会。そして、すぐに誰かにご縁いただき、手元を離れていく寂しさに合う。
思い入れある品ほど、やっぱり店にはなかなか残らない。
あの人にもらわれ、この人の元へ行く。バイヤーとしてはとてもありがたいこと。そして、ものの循環を願う私たちとしてはそれを望んでいるのにも関わらず、どこか寂しい。

なんだかセンチメンタル。3月ですからね。

そう。そして4月。どんどこ新しいことに挑戦いたします。
箕面船場の新店の計画も進んでまいりました。
新しい出会い、ご縁に期待して、大股歩きで進みます!

2017年3月 北の椅子と 服部 真貴 

北の椅子と 便り

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ただいま神戸

節分過ぎて、春よこい!そんなことを思いながら、昨日、東京から神戸に帰って来ました。
時々行く東京はよき友が安らぎの寝床を準備してくれることもあって、とても楽しいし、刺激もある。
けれどやっぱり新幹線で京都くらいまで帰ってくるとほっとする。そう、トンネルを抜けると、伸びをしたくなる。

展示会を巡り、お店もまわり、足はパンパンだけれど、よい収穫もたくさんあって心地よい。
私たちはヴィンテージ屋なので、お客様にはヴィンテージの良さ、今まで誰かの暮らしの中で使われてきた物が巡り、また使われることを良しとする。けれど、いま丁寧に作られたものが、また長く使われまた巡り続ける事も素敵だと思います。
そんな、物や作り手との出会いは楽しい。
店に帰って、今いる子たち(北欧ヴィンテージの品々)との相性考え、悩む時間もまた楽しい。

同じ場所で30年、迎えてくれる笑顔に会いに、心とお腹を満たしに行きたくなると方々から聞く、 ずっと訪れたかった店にも行けた。美味しすぎるスープや、お店の方との素敵な話に身体が解かれ、また今日から、店のものとしてお迎えする側の気持ちが膨らむ。

2017年2月 北の椅子と 服部 真貴 

北の椅子と 便り

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皆様に新年のご挨拶もせぬまま、走り続けてしまって、ふと気がつくと月の半分以上が過ぎてしまっている。
既に店では多くの馴染みのお客様とご挨拶ができ、気分よくいたら、こちらが手落ち。なんとも情けない。
ぽっかり満月に笑われる。

次々とスタッフのやりたいこと、店としてやらないといけないこと、私自身がしたいこと、を重ねると
より良く、皆のしたいことを進めるためには今のままではいけないと、打ち合わせを繰り返している近頃。
共に働き始めた頃は、言葉の出なかった人も、闊達な先輩たちに負けない勢いで話し出すときが来る。
それぞれに店のなかでのポジションを獲得すると、そこからああしたいこうしたいが湧き出てくる。
その瞬間がたまらなく、嬉しい。

先日、息子を保育園に迎えに行くと、太い竹の棒を園舎の二階に向けて立て、結、それを子どもたちが登っていた。
その下に保育士がおり、支え、励ましている。長蛇の列。
聞くと、一人の子どもが保育士を連れてきて、挑戦を始めたら、瞬く間に長蛇の列になったそう。
登る子どもは裸足の指に力を込めて、手に息を吹きかけ真剣な眼差しでてっぺんを見つめて「えいや!」と登っていく。
それを見守る列に並ぶ子どもたちから自然と「○○がんばれ!○○がんばれ!」と声が上がって、登る子どもは歯をくいしばる。
上まで行けたらわーーっと歓声になり、途中で降りると皆で残念がる。上まで行けなかった子がまた列に並ぶと、上手な子がこうしたらええねんでと、真面目な顔して教えている。
そしてまた、次の子が登るのを皆で見つめている。
年上の子らの挑戦を、なんとなく見たり感じたりしながらも周囲では、それぞれに違う遊びに集中している年少児がいる。

それぞれがしたいことをしっかりやりきる。それができる集団は良い成長をしていける集団になると、改めて心に刻む。

さて、2017年。
えいや!と登っていくスタッフの足元をしっかり支えるお役目をいただき、楽しみに上を見ている。

2017年1月 北の椅子と 服部 真貴