北の椅子と ショップ便り・お知らせ

北の椅子と 便り

北の椅子と 便り

久々の買い付けはとてもとても寒くって、けれどとてもとても暖かな気持ちになれた1週間でした。
私と息子は11月5日に出発、先に現地で仕事をしている買い付け隊とスウェーデンで合流しました。フィンエアーでヘルシンキで乗り継ぎ。外は見るからに吹雪で凍てついており、飛行機もディアイサーに囲まれます。それだけで北欧の冬の洗礼を受けた感じでした。

北の椅子と 便り

近ごろの買い付けはずーっと田舎回り。車がないとどこへも行けないので、ちょっとした買い付けの合間、時間をみつけては近くの公園であそぶ息子。けれど、15分もすると鼻水も凍る寒さで大人がギブアップしてしまいます。
デンマークでもスウェーデンでも、ちょっと街なかに入ると上の画像の様な公園があります。大きな木があって、児童公園の周りは低い柵があって、大人と一緒に入ります。動物連れでははいれません。
ほの暗い教会のたもとの公園ではブランコもグルグル回る椅子も独り占め。たしか、15時になっていなかったけれど、もうすっかり夕方。

北の椅子と 便り

スウェーデンのお家からはどの扉からもピッピちゃんが長靴で飛び出してきそう!小さなお家も大きなお家も、とてもかわいらしい。買い付け中、観光名所には行けないけれど、どこをとっても刺激があります。
特にまねできる、まねしたい!と思えるのは窓の設え。個人宅を勝手に撮影するのもはばかれるので、写真にはないのですが、どの窓も素敵に飾られています。道行く人と、中で暮らす人のために。
夕方窓を見ると、ほわんとした明かりに、ちょっとお花や、陶器の飾りつけなんかがあって、とても素敵です。

北の椅子と 便り

スウェーデンで布物や、食器類を沢山仕入れ、バンを満載にして、フェリーでデンマークに入ります。デンマークでは何度もお世話になっている農家さんの2階を借りて、自炊生活です。
とっても広い敷地内を散歩すると様々な果樹があり、池があり、馬がおり。モミの木もご覧の様に凍てついており、池もスケートができるかもしれないほど凍っているけれど、部屋の中はいつも暖かで心地よい。
北欧から帰ると、いつも我が家の寒さをつらく思うくらい、こちらでの室内は町ではセントラルヒーティング、田舎ではそうはいかないのかもしれないけれど太陽光発電なんかも利用してオイルヒーティングされており、 古くても気密性の高い造りになっており、壁も分厚くとても暖かです。デンマークでは冷たい冷たい家具の倉庫回り。家に帰ると身体が縮こまっていたのがジュワジュワ~とほどけていくのが感じられ、疲れも解け出る感覚を味わいます。
日本で、湯船につかったときに感じるあの感覚でしょうか。ありがたいことです。

北の椅子と 便り

晴れることが少ない冬のデンマークでやっと晴れた、日本に帰る前日の朝、家の周りを散歩していた時、息子に聞いてみました。デンマークどうだった?
「メス(仕事仲間の息子7歳)と遊べたのが一番楽しかった!」
言葉も通じなくても何時間も二人きりで遊んで、とてもとても楽しそうでした。
たった、1週間の旅だったけれど、見るもの、出会う人、食べたもの、触れたこと。確実に彼の中に何かの種がまかれました。
私たちが留守の間も店を守っていてくれた、よきスタッフにも恵まれて、久々の北欧、充実した1週間。私たちの次につながる良い旅でした。

私たちが帰国してから、間もなく、残り仕事を終えた買い付け隊が帰国しました。家具ともよい出会いがたくさんあったようですよ。
入荷は2月の末になるでしょうか。久々に丸テーブルも長方形も、ダイニングテーブルがたくさん入ります。
入荷レポートお楽しみに!

2016年12月 北の椅子と 服部 真貴 

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遅咲きだった金木犀の香りがあたりに漂ったかと思うと、あっという間に風に流され、いそいそとセーターを引っ張り出すような冷たい朝が続いている。
先月は2度ファーマーズマーケットに参加させてもらい、気持ちの良い土曜の朝を公園で過ごすことができた。
初回は10月の頭で、歩いていると半袖でもよいくらいになったが、2回目は月末で、かぼちゃの温かいスープがあっという間になくなった。
きっと、私たちが買い付けに向かう北欧は、もうダウンコートが必要だろう。朝、起きる時間どころかホテルを出る時間も、そして移動してしばらくたっても日が昇らず、街灯のない田舎道をヘッドライトを頼りに心細く進むのだろう。
今月、久々に私も北欧へ向かう予定でいる。まだ2歳にならない息子を背負い、マーケットをはしごしていたのが最後で、そんな彼も間もなく6歳になろうとしている。
コペンハーゲンの動物園や、友人のお宅で遊んだ記憶はもうほとんどないらしい彼にとって、ほとんど初めての記憶になるであろう北欧が素晴らしい旅になるのを祈るとともに、私もとても楽しみにしている。
来月はそんな便りが書けたらと。近況はFacebookやInstagramからおしらせします。ぜひ覗いてください。

2016年11月 北の椅子と 服部 真貴 

北の椅子と 便り

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先月の中頃、神戸東遊園地で毎週末朝に開かれているファーマーズマーケットに出かけた時、息子が何度も何度も前を通りほしがった、花束。
彼岸花とジニアやキコスモスと紫蘇。花屋の店先でみられるものではなく、もっと普段使いでもっと自然な花束がとても素敵だった。
農家のお姉さんとお話しをして、それを手にすると息子は紫蘇をちぎって食べてみたりにおいをかいだり、とても満足そうだった。

このマーケット、EAT LOCAL KOBE は街中の公園で、土曜の朝を過ごすにうってつけのマーケット。
おいしい朝ごはんが食べれたり、神戸で育った農産物が求められたり、薫り高いコーヒーで一休みもできる。
ここの特徴は、生産者と会えること。とてもありがたい機会だと思う。
日本でも各地で朝市が開かれるし、欧米諸国でもよくあるファーマーズマーケット。私も旅をすれば必ず足を運ぶし、その土地の風土が伝わってきてどんな観光地よりも素敵なこともある。
ここ神戸でのマーケットはまだ昨年始まったばかりで、多くの人に知られていないのかもしれないけれど、近くここも地元の人でにぎわい、ここを訪れた観光客がこのマーケットをきっかけにして、神戸に移住もあり得る、そんなマーケットになると思う。
北の椅子と が今月から朝ごはんブースでこのマーケットに参加させてもらう日があることになって、またまた楽しみが増えた。若いスタッフが出たいといい、彼女主体で進んでいるので、それも私としては楽しみです。
私たちはヴィンテージ家具の専門店で、カフェの方は付属のように思われていることがあるようだけれど、住むも食べるも人の営み。とても大切にしています。
ヴィンテージ家具は物質が循環してまた次の使い手へ。このファーマーズマーケットで出会う農家さんたちからも循環の話をよく聞きます。作物が育つ土地の循環。
急に話が物事の根幹になってしまいましたが、そう、循環をお話するにもよい機会。
土曜の朝、気持ちがよくって、おいしくって、ちょっと何かを考えるきっかけがあるかもしれない。
そんなマーケット。ぜひお出かけくださいね!

2016年10月 北の椅子と 服部 真貴 

北の椅子と 便り

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いつの間にやら蝉の声が静かになって、日が落ちるのも短くなった。
駆け抜けた夏。今年の夏は暑かった。というか、まだまだ暑い。

8月はコンテナの到着や、夏季休業もあり、あれよあれよという間に過ぎ去った。
子どものころの8月は一日いちにちが濃厚で、振り返ればあっという間だったけれど、それはそれは充実していた、ような気がする。大人から見れば ぼーーーーーーーーーっと過ごしていた一日ですら、におい立つようで、無駄なことに費やせる時間が濃かった。
祖母の家から水着を着たまま行けた須磨の海で、背中に水着跡をくっきり残していることなんてお構いなく、ひたすらカニを探して砂を掘ったり、
扇風機の風を受けて本を開けば、朝から晩まで、さらに次の日の朝から晩まで、さらに次の日の・・・と、何日にもわたりただただ魔女の世界にのめりこみページを繰っていたり、
そして、夏の終わりにはため込んだ宿題を、ドラえもんはなぜうちにはいないのかと半べそかいて、自らの40日間の使い方に反省しながらも、朝使い始めた鉛筆が何度も何度も削られて、短くなっていくのも面白くなるほどの勢いで仕上げていく数日も。
すべての日に集中力と、半端なく無駄なエネルギーが費やされ、濃くこく、過ぎていった。
そして、いつの間にやらあっという間に過ぎ去るのは同じだけれど、振り返れる項目がぐっと少なくなった大人の夏を過ごすようになった。
今年の夏季休暇。次の日のことをなるべく考えないで過ごしてみた。
夜中に起きて本を読み始めたら日が昇ってきてしまったり、いつもよくいくスーパーでじっくり見たこともない海苔のコーナーを端から端まで手に取って書かれている文字のすべてを読み込んだり、
日が暮れるまで息子と公園でサッカーをして筋肉痛なのか、打撲通なのかわからなくなったり。
すると、たいした旅行もイベントもなく日常だったけれど、どんどん何かが解けて、すっきりしていく感覚があった。

次の何かのために今を動いている日々だけれど、何にも考えない日があるのはとても良いなぁ、と今更ながら思う。
けれど、やっぱり習慣のようなもので、何を見ても、何かを感じても、いつも次の何かにつなげようと頭のどこかがしてしまうのです。

さてさて、9月は展示会に出かけたり、イベントに出店したり。なかなかにインプット、アウトプットの多い月になりそうです。店でも出先でも、人観察にのめりこみそう、な予感。

2016年9月 北の椅子と 服部 真貴 

北の椅子と 便り

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きゅうりにトマト、スイカに麦茶・・・冷蔵庫を開けてはすぐに身体に入る冷たいものばかり手に取ります。
毎日の暑さ。セミの声の目覚まし。皆様お元気でしょうか。

7月の終わりの土曜日に、お世話になっている旧グッゲンハイム邸で行われた映画鑑賞会に5歳の息子とともに行きました。
その映画は、モノクロ。そして、サイレント。
実はこの鑑賞会2度目です。初めて伺ったときは、5歳の子どもがサイレント映画で場が持つのか?と半信半疑。
ところがびっくり。映画が始まる前にはがやがやしていた子どもたちが、3・2・1・の白黒カウントとともに口をつむり、画面に集中。
そして、釘づけ。そしてそして、大笑い。「あぶない!」「おちるおちる!」「うしろみて~~」と大声でバタバタと画面の中で動く白黒のおじさんに叫びます。
これには本当にびっくりしました。そして、味を占めて、二度目の観賞。子どもたちはとてもとても楽しみにして、正座してスクリーンの一番前を陣取ります。
この度も、興奮の渦でした。面白かった。
映画が終わると子どもたちは一斉に外に出て、いきなりボール当て鬼が始まりました。この切り替えの早さにもびっくり。
夏の夜を満喫。帰りの電車でも大騒ぎ。そして、家についたらバタンキュー。
あぁ、子どもたちの夏はこうしてあっという間に、楽しさを凝縮したような形で過ぎ行くのでしょうね。
私もかつては一番夏が好きでした。今も、暑さにへばりながらも好きですが。学生時代までは待ち遠しくてたまらない夏でした。

神戸は夕方になれば必ず風が吹く地形です。蒸した部屋の中で作業をしていても、夕方になれば外に出て風に当たればほっとできます。
7月から新しく入り、私たちの力となっているメンテナンススタッフが、身体から湯気を上げて風呂上がりの様に仕事場から外に出て、心からの笑顔で「風が気持ちいい~。」と。本当にありがたい風。
今月にはまたもやこの暑い時期に、コンテナの受け入れがあります。新しいスタッフにとっては初めての経験。ちょっと不安。ちょっと楽しみな表情。受入れ日も風がすっとみんなの体を冷やしてくれますように!

2016年8月 北の椅子と 服部 真貴 

北の椅子と 便り

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男梅雨というのでしょうか、雨の日の降りっぷりが勢いよい梅雨でした。
各地でも被害が出ておることを耳にすると、胸が痛み、平穏な日々をありがたく思います。
雨の日は窓辺に座って、ずっと外を見ていたい。雨が降るのをぼーっと眺めていたい。
そんなことも大人になるにつれ、なかなかできないでいます。そう、今年も雨が降ってもたくさんのお客様を楽しくお迎えしたい、と、梅雨時期に北の椅子ととしては多くのイベントを企画してしまいました。
そして、それぞれのイベントにとても多くの笑顔を見ることができ、とても嬉しかったです。ご来店いただきました皆様、わざわざな場所にあるにかかわらず、ありがとうございます。
私たち北の椅子とで行うイベントは、スタッフが発案したり、お客様から提案をいただいたり、教室講師の人の企画があったりしますが、どれも誰かの「やりたい!」に対して、それ面白そう、私もやりたい!と形になっていきます。
そのやりたい!ってなかなか言えずにいることが多いんだなぁと、様々な場面で出くわします。何か面白いことをやりたいなぁと思っていても、それを口に出した瞬間から、やらざるを得なくなってしまう。そのプレッシャーや責任がイヤでやりたい!となかなか言えない。
でもありがたいことに、スタッフたちは次々とやりたい!を口にします。そして、自ら主導することで困難なこともあるけれど、新しい何かを吸収して、前へ進んでいる。その姿を見ているのがとても好きで、もちろんその企画に乗ることも大好きでいます。
小さな企画でいえば、スタッフ同士の集まりもあります。先月の1番笑った時はこのスタッフ同士の集まりの夜にありました。それはスタッフ久美子の企画。「ゲーム大会」でした。
日曜、仕事終わりにカフェでスタッフが真剣にカードゲームやボードゲームを。外からのぞき見されていたら異様な光景だったかもしれません。白熱しすぎていて。しかしながらこの企画、新しいスタッフを楽しく迎える企画でもありました。そして、みな、頬骨の上の肉が痛くなるくらい、笑った夜でした。

もうすぐ、学校は夏休みに入ります。きっと各ご家庭でもいろいろな企画があることと思います。私たち北の椅子とも夏の良い日をお過ごしいただけるよう、企画してまいります。
どうぞこちらHPやFacebookをチェックいただき、誰かの「やりたい!」にも、もちろん通常の営業日にも足をお運びいただけますと幸いです。

2016年7月 北の椅子と 服部 真貴 

北の椅子と 便り

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風が心地よくてうっとり目を閉じていると、普段聞こえていない音や香りが届いてきます。
特に子どものころには、その感覚が好きでした。
めったと出さない熱が出たりして、家で寝ている時。2段ベッドの上段で手が届きそうに近い天井を見飽きて、目を閉じると急に音も匂いも大きく濃くなって。。。
当時は団地の10階に住んでいたので、車や人の声は遠く、陽が当たり、風がよくぬける部屋はお日様の匂いと、使いこんだおもちゃの少し埃くさいような匂いと。
学生時代、キャンプリーダーとしてネイチャーゲームというものを知ると、それを森の中ですることが楽しくなってきました。
森の中ではもっと感覚が研ぎ澄まされて、心が落ち着きます。鳥のさえずりも、葉の擦れ合う音も、自分の心臓の音も聞こえるようで、木々と土と水と日の匂いを嗅ぎます。
その体験もとても素晴らしいですが、私は学校を休んでベッドの上で目を閉じて、部屋の隅々まで思い出しながらその感覚に浸るのが好きでした。
今でも時々、当時の匂いを思い出すことがあります。そして、そのころに過ごした部屋の設えを頭の中に描きます。
話を聞くと、子どものころに過ごした部屋の隅々まで覚えている人は私の周りに多いのですが、皆さんはいかがでしょう。そのものの質感、手触り、匂いまで覚えていたりしませんか。
そして、それを思い出して、スーッと心が落ち着くことはありませんか?
今、私は主人と5歳の息子と14歳の老犬と3人と1匹で暮らしています。この5歳の子が巣立つとき、この家はどんな感覚を彼に与えられているのでしょう。
子と過ごす短い年月、少しでも心地よく、安らかな刺激のある場であることを願います。

現在、買い付けチームはデンマークに滞在しています。
その彼らから届く毎日のメールに、我が家にも迎え入れたいと思う家具がありました。
息子の家具として。
今まで北の椅子とで扱ってきたデンマークヴィンテージとはちょっと違う。でもやはり時を経てきた味わい深く、かわいらしい家具。
さて、どんな家具が入荷してまいりますかお楽しみに。
また、盛夏のころに船が近づいてまいりましたらお知らせいたします。

2016年6月 北の椅子と 服部 真貴 

北の椅子と 便り

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日差しが強くなってきて、緑の中で過ごすのがとても気持ちの良い季節になりました。
私たちの店の近くにはノエビアスタジアムがあり、スタジアムと続く芝生公園はとても気持ちの良いところです。
電車好きの子どもたちに人気の兵庫駅から西へ歩いて3分ほどの芝生公園も、電車の往来が見られるのんびりスポットです。
ちょっと足を延ばして、奥須磨公園や六甲森林植物園なんかもおすすめです。
私たちが買い付けで訪れるコペンハーゲンの市街地には手入れの行き届いた、背の高い木々が重なり合う公園がとてもたくさんあります。
住宅地に併設する児童公園も多く、そうした公園は犬など動物の散歩でははいれないように、またこどもが勝手に飛び出さないように柵があり、入り口は門があるところが多いです。
ちょっとした公園も、素敵な遊具や小さなアスレチックのようなものがあり、子どもを連れて買い付け旅をしていると、とても助かる休憩スポットになります。
そしてホットドックスタンドや、サンドウィッチショップでお昼を買って、公園で頬張る美味しさったら!
今の季節だと、少し大きめの公園の芝生の上では、裸で日を浴びる人々、ピクニックを楽しむ人々、サッカーを楽しむ人々、それはそれは賑やかで、楽しい場所になっていることと思います。

さて、今月末からまた、メンテナンスチームがデンマークに向かいます。
近ごろではコペンハーゲンでの滞在時間も短くなり、デンマーク全土を走り回り、ちょこっとスウェーデンにも足を延ばして、移動時間がどんどんと長くなっているようです。
それだけ、ものが集まらない。魅かれる品が少なくなってきています。けれども、北の椅子と のお客様には私たちがよいと思うものを届けたい。
今回も、2週間の行程で、40フィートコンテナに隙間なく良い品が集まることを期待しながら。
恐らく8月、素敵な品々を詰め込んだコンテナが届くことでしょう。

2016年5月 北の椅子と 服部 真貴 

北の椅子と 便り

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花咲じじいが夜のうちに灰をまいたかのように、ある朝、桜がほわほわと咲き始め、同じ日の夕方にはもくもくと咲いていた。
この春はまさに三寒四温で、花の時期も長く、お花見の機会にも恵まれた。

デンマークでも、「桜まつり」があると聞いた。人魚の像の近くの広場で、10年ほど続いていると聞いている。
ちょっと調べてみると、今年も4月30日と5月1日に日程で行われるそう。私たちのような仕事ではゴールデンウイークとも重なり、難しそうですが、一緒に楽しめる日本人旅行者も多いのではないでしょうか。
はっきりとした花色が多い印象のデンマーク。デンマーク人と桜、私のカラーイメージでは想像が難しいのです。
でも、愉しむことがとっても得意なデンマーク人、きっと私たち以上に春は待ち遠しく、芝生と桜と裸(暖かくなり始めるとすぐに裸みたいな恰好の人が増えるお国柄)で寝転がる人々、、、みたいな妄想が膨らみます。

買い付けで訪れる機会の多いデンマークからは、私たちも多くの情報や刺激を受け取り、憧れたり、考えたりします。
それは高い税率だったり、幸福の概念の違いだったり、フォルケホイスコーレのような教育だったり。
先日オープンしたスーパーにもびっくりしました。
「WeFood」という賞味期限切れの食品やキズアリ、難アリなど使えるけど他の店では販売に至らない品だけを扱うスーパーがコペンハーゲンにできて、とても盛況だといいます。
コペンハーゲンでは「Irma」が大好きで滞在中何度も訪れます。キャラクターのイヤマちゃんに迎えられ、美味しく健康的な食材やデリが買えます。お土産にオリジナルのジャムや紅茶もついつい買いすぎます。
でも、次の買い付けの機会にはぜひ「WeFood」にも行ってみたい!継続して盛況でありますように!
そんなスーパーを「食品廃棄問題を解決するための、大きな一歩」としてデンマークの食品・環境大臣も絶賛するような国。
世界でもトップクラスの食品廃棄のある国、日本でもフードバンクが増えてきているように聞きますが、まだまだ知名度も低く、全ての人に対してオープンでないような気がします。
低所得者に向けてではなく、社会的には様々な肩書だったり、年齢だったり、性別だったりする人々がそれにとらわれず利用するWeFood。
社会問題にまじめに取り組み、すぐに実践していくデンマークのお国柄。
小さなところから見習おうと、私もスーパーの処分品棚を物色。今夜は芽が伸びてきているじゃが芋と熟した新玉ねぎでスープ、黒くなったバナナでおやつも作れるか・・・

「北の椅子と」のカフェでも、おなかがいっぱいで食べられなくなったらお持ち帰り用に包みます。ぜひお声かけくださいね。

2016年4月 北の椅子と 服部 真貴 

北の椅子と 便り

北の椅子と 便り

沈丁花に鼻をくすぐられ、春が来ていると教えられた。
いつも春の新生活や新しい店舗オープンなどに向け、家具のお客様が増え、確定申告の切羽詰まった資料探しに追われる時期とも重なり、ドタバタと足音大きく走り回っていると、先ほど新年の扉を開けたはずなのにもう、三月となっている。

春のおやつをスタッフといろいろと考えており、試作と試食を繰り返し、心は満足おなかは満腹な毎日でふと立ち返り思う。
北の椅子との目指す「おやつ」って何でしょう。
家では豆大福だったり、干し芋だったり、ホットケーキだったり。店でもそれの延長線上に、(私はお菓子作りができないので)スタッフと話し合う。
材料がシンプルで、素材の良さが出る、家庭で作れそうなおやつがいいね。

この春の北の椅子とのおやつのメニューに一番初めに決まった、レモンのシフォンケーキがある。冬の間、これでもかというくらい柑橘類を食べた。早生蜜柑からはじまり酸っぱく、苦い八朔、甘夏、そしてレモンと聞くと春になった気がする。
春の国産レモンの季節がやってきて、圧搾の菜種油でさらりと仕上げたシフォンがさっぱりとおいしい。
菜種油のほかにも、甜菜糖だったり、生乳だけでつくられた生クリームだったり、カナディアンメイプルシロップだったり、北海道小麦だったり・・・ごまかさずに使える素材で。
はぁ~、ってため息をつくような日にも、仕事や育児に思い通りにいかないときにも、パソコン前に何時間も座りっぱなしになる日にも、おやつで回復できる、こともある。
好みの椅子にゆっくりと腰かけて、よい時をお過ごしいただきたいと、おともするおやつを作ります。
ほかのラインナップはご来店いただいた時に。どれにしようか迷うも楽しい時間。

2016年3月 北の椅子と 服部 真貴 

北の椅子と 便り

北の椅子と 便り

いよかん、はっさく、なつみかん…庭に大きな黄色い実がなる木があることは
子どものころからの憧れだったと、先日いただいた手作りのマーマレードを味わいながら思い出した。
その憧れはいまだ叶ってはいないけれど。

「むか~しむかし、おじいさんとおばあさんが・・」
「おおきなおおきなきのうえに、ちいさなちいさな・・・」
「あるひたろうがにわをさんぽしていると・・・・」
よる、眠る前のお話の時間は子どものころも今も好きで、枕元には絵本や小説、雑誌もたくさん積みあがっている。
息子が眠るときに絵本を1冊、素話一つ。息子が眠って、私も本を開きます。
絵本をたくさん読めるのは子育て中の特権と思う。子育てをしていな時も絵本も児童書も好きで、どちらかというとよく手にしていたと思うけれど。
例えば、図書館に行って、まだ字の読めない息子が読んでともってくる本は、私が選ばないから面白い。
夏にクリスマスの本だったり、もう5歳になったのに赤ちゃん向けに書かれた本だったりすることもあるけれど。
毎晩、今日はどんな絵本かなと楽しみに。何日も同じ絵本をリクエストされると、いつまで続くかと気持ちの変化も楽しみになったりする。 
今の気に入りは、「ももたろう」「さるかにがっせん」「かさじぞう」・・・なぜかいま、日本昔話である。
私も子どものころから何度も繰り返し聞いたり、読んだりしてきて、いろいろな解釈だったり、型があったりするのだろうけれど、やっぱり根っこ。面白いです。
さてさて次なるブームは世界昔話か、はたまたスターウォーズから来る宇宙ものか。。。
店にも少し絵本や児童書を置いています。ぜひ、大人の方も手に取ってみてください。

そして、冒頭の憧れ話。絵本の本棚を持つことも子どものころからの憧れの一つ。
そしてそして、私が選ぶ絵本の版を見ると、初版がだいたい60から70年代。扱う家具も聴く音楽もそして選ぶ絵本も、大体そのあたり生まれ。

2016年2月 北の椅子と 服部 真貴 

北の椅子と 便り

北の椅子と 便り

あけましておめでとうございます。
本年も皆様にとって健やかで佳い年になりますよう。

正月に珍しく、帰省先の北陸の空も穏やかに晴れていた。
雪のない正月は久しぶりで、初詣に出かけた神社の整えられた参道を、ぬかるみを避けることなくまっすぐに歩いたのも記憶の中では初めてだった。
清とした木立の香りが心地よかった。

年頭のあいさつもそこそこに、私たちは年末に迎えた、デンマークからのコンテナのパッキンを開けている。
営業中はくつろぎのスペースとなる喫茶の家具を片付けて、オープンスペースとして、どんどん広げる。
箱を開け、梱包材を出し、デンマークの新聞にくるまれた品々をどんどん開ける。
時々、スタッフの手が止まり、ニンマリする。それぞれのお気に入りが出てきてご対面の時。それぞれの好みが違って面白い。
開け続けて、部屋の端に新聞の山が堆くなり、部屋に敷き詰められた毛布の上は、たった今箱から出された品々で足の踏み場がなくなる。
私たちとしては、また、新しい暮らしの中で活躍してもらいたい気持ちと、手元に残しておきたい気持ちとの葛藤の時。
長年使われていなかったのか、曇った表情の品も多いけれど、汚れを脱がせるといきいきとする。
アイテムを分け、品番や価格をつけて、さぁ売り場へ!しばらく箱の中で眠っていた品々を活躍させてくれるのは誰だろう。
次の使い手の目に留まり、心に留まる日を楽しみに待っている。

北の椅子とは2016年、いろいろな変化を予定しています。
暮らしを楽しむお客様とともに、よりよく進化していけるように。
ゆっくりと、一歩ずつ。

本年も皆様とのご縁に期待して。どうぞよろしくお願いいたします。

2016年1月 北の椅子と 服部 真貴